🇯🇵 Current Nitrosamine Landscape in Japan?

日本国内でニトロソアミン混入によるアトモキセチン製剤の自主回収、もしくは暫定管理措置の設定があったのでご報告します。PMDAのサイトでは、ジェネリック医薬品を製造する8つの会社が本剤の現在の状況について報告しています。

いずれも特定のロットで許容限度値(100ng/day)を超えたN-ニトロソアトモキセチンが混入したことにより自主回収を行う、および/もしくは暫定許容限度値(670ng/day)での管理に移行したそうです。また、このうちいくつかの会社では、暫定許容限度値(670ng/day)を超えてN-ニトロソアトモキセチンが混入し、自主回収を行ったとのことです。

製造停止や出荷停止ではなく、最大3年間となる暫定許容限度値を用いた管理で出荷が継続されるとのことですが、日本の大手ジェネリック医薬品メーカーがいくつも含まれているだけに、本剤の供給に悪影響がないか心配ですね。なお、日刊薬業の記事によると、本剤の先発品メーカーも生産停止中であり、製造再開の目途は未だ立っていないそうです。

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医療現場におけるニトロソアミン問題実態調査

沢井製薬が実施した日本国内の医師315名、薬剤師321名(合計636名)に対するインターネット調査の記事を共有します。医療現場に影響が出ており、現場では今後も継続するものと慎重に受け止めているようです。一刻も早く現場が安心できるように、問題の解決に向けて、業界内で協力して取り組む必要があります。

・ニトロソアミン問題に対する理解度:医師・薬剤師に対し「ニトロソアミン問題」への認知・理解度を調査。本問題について「よく知っている・内容を理解している」と回答した医師は2割(23.2%)、薬剤師は3割(32.7%)。
・ニトロソアミン問題の影響:「ニトロソアミン問題」による医療現場業務への影響について,医師・薬剤師共に6割以上が「医療現場で影響があった」と回答、影響は医師では「患者からの問い合わせが増えた(32.1%)」、薬剤師では「一部医薬品の供給不足・処方変更が生じた(40.4%)」が最多。
・ニトロソアミン問題に対する対策:対策を行っている医師、薬剤師は約半数(医師42.8%,薬剤師48.0%)、医師では「医薬品の在庫・調達方針の見直し(49.2%)」、薬剤師では「該当医薬品の採用停止/切替え(57.4%)」が、それぞれ最多。情報の入手先としては、医師、薬剤師共に製薬企業とのコミュニケーションを重視しているとのこと。
・ニトロソアミン問題に関する来年(2026年)以降の見通し:医師の4割(45.3%)、薬剤師の5割(50.4%)が「医薬品供給・品質管理の大きな課題として来年以降も長期化すると考える」と回答。問題の鎮静化・解決にあたって有用と思うことは、医師では「製薬企業からの詳細な情報(48.1%)」、薬剤師では「ニトロソアミンのリスクを低減する製薬技術(49.3%)」であった。

「沢井製薬調べ」

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2026年12月に日本で開催されたICH即時報告会の、ICH M7 Sub-groupに関する資料を共有します。

以下、各チームの活動・議論を抜き出します。

チーム1(品質)
品質分野の専門家の確保を確実にするため、2025年5⽉以降 12~18か⽉の保留中。データギャップを議論するためのWeb会議を実施。

チーム2
Enhanced Ames試験(EAT)のデザイン:
・「EAT」プロトコル(溶媒濃度、代謝活性化系(S9)等)に関して合意済み。
・ただし、HESIなどの試験結果を踏まえた「陽性対照物質の選択リスト」を定義する作業が未了。

EAT結果の解釈:
・あるステークホルダーは、EAT陰性結果のみから「1.5マイクログラム/⽇」と結論づける点について、まだ合意していない。

アクション:
・業界側代表者が業界団体に連絡し、EAT試験への採⽤基準として合意済みの条件に基づくEATデータの提出を依頼する。
・併せて、in vivo試験があるケースについては、利⽤可能なAmes試験データの提出も依頼する。
・データはNITWGの規制当局メンバーに直接提出される。
・ 提出期限(案):2026年1⽉末まで。

チーム3
Carcinogenic Potency Categorization Approach(CPCA):
・発がん性試験データが存在しないニトロソアミン不純物について、構造活性相関(SAR)に基づいて発がん性の強さを5つのカテゴリーに分類しAIを設定する手法の枠組み
・既存SARのアップデート・新SARの導入の検討 等
・HESIに優先事項として伝えるべき構造的特徴について合意(分子量、bioisosteresなどの考慮)。
・NMPEA、そのベンジル誘導体、N-ニトロソ-ベタヒスチンについて、in vivo遺伝子突然変異試験を実施するための支援をHESIに要請。

リードアクロスのフレームワーク:
・2段階のアプローチ(構造的特徴+物理化学性状→WoE)で検証を進める。
・EMAのリードアクロスフレームワークPJとも情報共有しながら協議を進める。

モノグラフ:
・CPCAアプローチを支持するニトロソアミン不純物のモノグラフ作成
・NDEA, NDMA, NMPEA, NPIP, NMOR, NNKのがん原性試験成績及びこれに基づく許容一⽇摂取量導出にベンチマークドーズ解析を⽤いることで合意。
・FDAがこの点を確認中。

チーム4
Less-than-lifetime概念の適用:
・ニトロソアミン不純物の短期曝露へのLTL概念の適⽤可能性 等
・未解決の論点に対応するためにHESIがとっているアプローチは、EWGでの議論・決定を支えるうえで十分と判断。
・ただし、既存のHESI活動の中で、追加データの組み込みおよび解析を行うよう、EWGから要請があった。
・「発がんポテンシャルは⽣涯累積曝露量の関数である」という原則から一歩進めて検討を行う。→現行のICH M7における⽣涯未満曝露(LTL)の安全域は、ニトロソアミンに対して十分なのかどうかを検証する。

in vivo遺伝子突然変異原性試験による許容摂取量の設定:
・in vivo遺伝子突然変異原性試験のデザイン及び解釈
・in vivo遺伝子突然変異原性試験で陽性であった場合のAI設定(利⽤可能性) 等

in vivo遺伝子突然変異試験で陰性の場合の対応:
・十分に適切に実施されたin vivo突然変異試験が陰性であれば、「NNOは非変異原性である」と結論づけることで合意。
・一方で、管理戦略については異論あり:あるステークホルダーは、in vivo突然変異試験が陰性であっても、その管理戦略をICH Q3A/Bレベルに委ねる点について、まだ合意していない。 ・当該ステークホルダーは、別案を持ち帰り、その根拠およびデータを付して改めて提案する。

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PHARM TECH JAPAN 2026年3月号(Vol.42 No.3)が発売されました。

●特集 ニトロソアミン問題の振り返りと今後の展開
3月号では、ニトロソアミン問題について特集しています。ニトロソアミン問題は、発覚から数年を経た現在も業界に大きな影響を与え続け、昨年8月に自主点検の期限を迎えた後も、新たな知見を踏まえてニトロソアミンを適切に管理することが求められています。
本特集では、自主点検の期限を迎えたことを一つの区切りと捉え、これまでの問題の経緯や企業の取り組み等を振り返るとともに、今後求められる対応について考察しています。

以下、目次から(敬称略で)転記します。

●特集 ニトロソアミン問題の振り返りと今後の展開
①ニトロソアミン問題:これまでの経過と今後についての考察
三上夏実(厚生労働省)
②沢井製薬におけるニトロソアミン混入リスク対策
野沢健児、三村尚志、横田祥士(沢井製薬)
③ニトロソアミン問題への対応:製薬業界における有志勉強会の活動概要
美濃洋祐(塩野義製薬)
④ニトロソアミンリスクアセスメントへの取り組み
~医薬品添加剤からの視点~
渡辺 宏、仲川 勉 (日本医薬品添加剤協会)

私が2023年2月から3年間にわたり開催した有志による勉強会の成果について、寄稿させていただきました。ご興味がおありの方はぜひご一読いただければと思います。

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